プロカメラマンの仕事は、シャッターを切る瞬間だけではありません。
むしろ、本当の仕事は「撮る前」にほぼ終わっていると言ってもいいでしょう。
どれだけ高性能なカメラを使っても、
どれだけ撮影技術があっても、
準備と設計が甘ければ「伝わる写真」にはなりません。
今回は、プロカメラマンとして大切にしている
「撮る前の仕事」について整理してみます。
1. 目的を定義する(何のための写真か)
最初に確認するのは、とてもシンプルな問いです。
「この写真は、何のために使われるのか?」
- Webサイト用なのか
- SNS用なのか
- 広告・パンフレット用なのか
- 記録なのか、ブランディングなのか
目的が違えば、正解の写真もまったく変わります。
プロはまず、写真の役割そのものを設計します。
2. クライアントの「言葉にならない要望」を読み取る
クライアントからよく出てくる言葉があります。
- 「いい感じで」
- 「おしゃれに」
- 「信頼感のある雰囲気で」
これらは間違っていませんが、
そのままでは撮影の指示にはなりません。
プロの仕事は、
- 誰に向けた写真なのか
- どんな印象を持ってほしいのか
- 競合とどう違いを出すのか
を整理し、撮影の判断基準に翻訳することです。
3. 世界観・トーンを決める
撮影前に必ず決めるのが、写真全体の方向性です。
- 明るい/落ち着いた
- 柔らかい/シャープ
- ナチュラル/作り込む
- 余白多め/情報量多め
これは後処理で作るものではなく、
撮る前に共有しておく設計図です。
ここが決まっていると、現場で迷いません。
4. ロケーション・時間・光を読む
プロは「現場に行ってから考える」ことをしません。
- 何時の光がベストか
- 自然光か人工光か
- 背景に何が写り込むか
- 天候によるリスク
撮影当日は確認作業であり、
本番はすでに頭の中で終わっています。
5. 「撮らない写真」を決める
良い写真を撮るために重要なのが、
何を撮らないかを決めることです。
- 目的に合わない構図
- ブランドイメージに合わない表情
- 使い道のないカット
すべてを撮ろうとすると、写真は散漫になります。
プロは選択と集中で質を高めます。
6. 被写体との関係性をつくる
人物撮影では、技術以上に大切なことがあります。
それは、被写体が自然でいられる空気をつくること。
- 緊張をほぐす会話
- 無理に笑わせない判断
- 表情が出るタイミングを待つこと
プロは「撮る人」ではなく、
写る人を支える存在でもあります。
7. 段取りとリスク管理
撮影は段取りで8割が決まります。
- 撮影順と時間配分
- 機材トラブルへの備え
- 天候悪化時の代替案
- 確認タイミングの設計
トラブルが少ない現場ほど、
事前に多くのことが考えられています。
まとめ:写真は、シャッターの前に完成している
プロとアマチュアの違いは、
カメラや技術の差ではありません。
「撮る前に、どこまで考えているか」
- 目的を設計し
- 意図を言語化し
- 世界観を決め
- 人と空気を整える
シャッターは、最後のひと押し。
写真は、その前にほぼ完成しています。



